Mountains

北アルプス・槍ヶ岳(初登頂)

10歳の僕にとって、父と登った槍ヶ岳はまるで天空にそびえる巨大な塔のようだった。頂上に立ったとき、足元に広がる雲海とどこまでも続く山々を見て、「自分もこの世界で挑戦してみたい」と思ったのを今でも覚えている。あの日の感動が、今の僕の原点だ。

冬の八ヶ岳・ソロ遠征

真冬の八ヶ岳に一人で挑んだ。気温は-20℃以下。山小屋も閉鎖されている中での行程は厳しかったが、夜にテントから見た満天の星空が疲れをすべて忘れさせてくれた。翌朝、雪に覆われた白銀の世界を歩きながら、「この瞬間のために山に登っているんだ」と心の底から思えた。

エベレスト挑戦の夜

ベースキャンプからアタックキャンプに向かう途中、星が降ってくるような夜空を見上げた。その美しさに胸が締め付けられたけれど、寒さと酸素不足で手足の感覚はほとんどなかった。「本当にここまで来て良かったのか?」と思うほどの厳しさ。でも、登頂した瞬間、そんな迷いは一瞬で吹き飛んだ。人生の頂点に立った気分だった。

パタゴニアの未踏峰「颯風ルート」

ずっと挑戦したかった未踏峰への登頂が実現。風が強く、山肌は氷の刃のように鋭かった。途中、雪のクレバスを越えるときには、自分の限界を試されるような感覚だった。それでも、頂上にたどり着き、ルートに名前を付けたときの達成感は何にも代え難い。自然の中で自分の存在が小さな点であることを再認識した。

北極圏でのソロ遠征

北極圏での遠征はこれまでで最も孤独で厳しい挑戦だった。真っ白な世界が360度に広がり、自分がどこにいるのかさえ見失いそうになる。極限状態の中、何度も心が折れそうになったけれど、前に進むことで「生きている」という感覚を強く実感した。遠征後、雪原に立った自分の写真を見ると、あの孤独さと達成感が蘇る。

地元の山での子ども教室

今日は地元の子どもたちを連れて北アルプスの入門コースを歩いた。僕が10歳の頃、父が教えてくれたように、自然の美しさや怖さを伝える機会になった。子どもたちの「また登りたい!」という言葉を聞くと、自分の中の情熱が再び燃え上がるのを感じる。彼らにとっても、今日が新しいスタート地点になればいいな。